着研究会

粘着研究会会長 挨拶

   粘着研究会会長 東京大学名誉教授 竹村 彰夫   

  我々は日頃、粘・接着の恩恵を受けて生活しています。例えば身の周りにあるスマートフォン・タブレット、
電話帳、書籍、衣類、履き物、建材、家具、包装材料、子供のオモチャ、楽器、スポーツ用品、包装材料などには、
粘・接着剤が必ず使われています。自動車、車輌、航空機、ロケットなどでは各種の材料が苛酷な条件の下で
必要な性能を発揮していますが、その中で粘・接着剤が縁の中の力持ちとして重要な役割を果たしています。
さらに、電気/電子関連材料、医療用材料等々にいたるまで粘・接着が関与していないものはないと言っても
過言では無いでしょう。

 粘着剤は室温よりもTg(ガラス転移点)が低い接着剤ですが、最近では接着剤からの置き換りのケースも
多く見られます。また、接着剤は液体が固化して接着するのに対し、粘着剤は初めから固体であるという点が
大きく異なります。そのため粘着剤がくっつくためにはタックという現象が必須です。

 しかし、粘着に関する技術的展開が華々しく行われているのに対して、タックを含めた粘着現象そのものの
科学的理解は十分に進んではいません。たしかに粘・接着に係わるいくつかの側面については科学的解明が
進んでおり、理論化も行われていますが、粘・接着現象の総合的理解にはまだ到達していないと考えるべき
でしょう。これは、粘・接着剤、被着材、加工、さらには接着系(複合材料)に関係する因子が多すぎることと、
粘・接着に深く関与すると思われる科学分野があまりにも多岐にわたっていることに原因があります。
さらに、それだけではなく、実用的な面からの要求性能が必ずしも科学的な形で明確化されない場合が多い
こともその原因の一つでしょう。

 私たちは、高分子科学、界面科学、材料力学等の基礎学問に基づいて粘着機構に関する総合的な研究を
リードしたいと考えています。この目的を達成するために、粘着研究会は粘着専門委員会として1981年に
発足しました。

 初代会長畑敏雄先生の理念の下、以下の研究の4本柱が構築されました。

  (1)粘着基礎理論   

  (2)粘着剤の分子設計と機能性付与

  (3)粘着特性と評価法

  (4)粘着技術

現在もこの4本柱をベースとして、例会、産学協同およびその研究成果の発表会、海外視察団の派遣、資料集
の発行等の活動を精力的に行っています。

 その活動の予定や、今までのアーカイブ等もこのWebSiteに順次掲載していく予定です。

 粘着剤の製造者、ユーザー、研究者、また粘着に興味のある方、粘着研究会に入会してみませんか?

皆さんと一緒に粘着の技術をさらに発展させたいと思っております。

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