会長のあいさつ

第30期会長就任挨拶

日本接着学会第22代会長就任にあたって

 2022年6月開催の第60回年次大会・総会中に持たれた第30期理事会にて理事の互選により会長に選任されました。接着を専門的に論じる学会として歴史のある日本接着学会の運営を担う責任の重さを痛感しつつ、これまでお世話になってきました学会への恩返しの機会と思い、謹んでお受けしました。副会長として共に執行部を形成する杉崎俊夫様、宮田隆志先生、永田謙二先生、理事の皆様方、事務局の多大なお力を賜りつつ、なにより会員の皆様おひとりおひとりの声を真摯に聴きつつ、学会のさらなる発展のために励む所存です。                                 

  

 コロナ禍にあって活動が制限され、対面議論が不自由となりました。しかし、この逆境の中でオンライン活用が進み、堅実な学会運営がなされてきました。前執行部・理事会・事務局のお働きと、学会員一人一人のご尽力の賜物です。学会誌・技術誌発行による論文・総説・解説記事等の発信に加え、互いの考えを率直に議論し、刺激し合う繋がりが個々の研究力を高め、日本接着学会全体の力となります。編集委員会および年次大会、研究会、支部活動、各種セミナー等、それぞれ工夫を凝らしお世話いただいている皆様に感謝を申し上げます。

 

 ご承知の通り日本接着学会は、接着・粘着に関わる学理と技術全体、モノとモノが接する「界面」を研究対象とする学会です。接着の信頼性・耐久性・機能性に多様なScienceの視点で示唆を与え、新規接着TechnologyやEngineeringを提案し、社会貢献する学会です。化学、物理学、力学、高分子科学、材料工学、生物学など幅広い基礎学理が接着技術を支えます。産業の裾野も自動車、航空宇宙、建築土木、電気電子、医療など極めて広い。いろんな学会で会員減少が課題と言われる中、日本接着学会は会員数がほぼ横ばいです。この事実は接着の学理と技術・応用の両面における可能性の豊かさを示しています。接着に関わるScienceとTechnologyのさらなる発展、会員増加を目指し、次の課題に取り組みます。

 
(1)  学会員・企業相互の連携構築(見たくなるホームページ等)
   所属会員の専門分野が多様性に富み、企業会員が7割を超えることを特徴とする学会です。日々の研究開発における課題解決のヒントをお持ちの会員が学会内にたくさんおられるはず、機能的繋がりが強化されれば嬉しいと、第29期にもたれた若手懇談会でご意見をいただきました。会員に役立ち見たくなるホームページへの変革等、会員相互の連携構築に努めます。
(2)  学際・業際領域での事業企画
   
会員の皆様が日本接着学会においてこれまで以上に新テーマ・新技術と出会い、そして人との出会い・繋がりを楽しめるように、学問分野間の橋渡し、学理と産業の橋渡し、産業分野間の橋渡しの推進を意識した企画を考えます。接着技術をこれまで用いてこられなかった潜在ユーザー様に、接着の技術と学理を伝え、ご活用いただきたいのです。他学会交流も含め、接着ユーザーの掘り起こしを意識した事業企画を行います。
(3)  全国規模での若手の会支援
   
オンライン化が進んだ現在、地域性を超えた会員間交流を容易に実現できるツールは整いました。接着学会員ゆえに有意義で面白い繋がりができるように、若手の声を聴きつつ本部ができることを考え支援したいのです。ご提案を募ります。
(4)  支部・研究会活動支援
   
オンライン化進行の一方で、やはりFace to Faceでの議論・意見交換や“偶然”の出会いこそが本来の学会の醍醐味であり、大切です。支部・研究会活動がその最前線です。各支部・研究会の状況を聴きつつWithコロナの在り方を共に模索したいのです。会員数が現状少ない地域の潜在会員掘り起こしを目指した働きかけも行いたいと思います。
(5)  国際交流の再スタート
   
2022年11月には北京粘接学会主催のCIB’08が、また、2023年9月頃にWCARP7+EURADHがドイツにて開催予定と聞いています。コロナ禍状況を睨みつつではありますが、接着学会として国際交流の再スタートを切れる予感が楽しみです。
  一人一人が“接着”をさらに愛し理解を深め、その想いを研究成果とし互いに伝えあう。結果、接着を研究し接着技術を適用する人々が増え、日本接着学会はさらに発展します。自らの可能性に期待し、共に“接着の時代”を創りましょう。何卒よろしくお願いいたします。

 

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